2009年10月20日

今、日本の水源地で起こっている忌々しきこと

田んぼの水は森が育む

 以前、燦燦会で「田んぼは地球の腸」というお話をさせていただいたことがあります。田んぼの中のイトミミズはまるで人間の小腸絨網のように、人間が田んぼに入れた米ぬかなどの有機物を直ちに稲が吸収できる形に変える働きをしていますし、田んぼの中の光合成細菌や乳酸菌は、まるで人間の腸内細菌のような働きをします。
 ところが、その田んぼの水が足らなくなってきています。その原因は奥山にありました。

この100年で奥山に何が起こっていたのか

 奥山の森が水を育まない杉や檜の人工林になってしまってから1世紀が経ってしまいました。実は、江戸時代までは、奥山は人が入ることを控え、ある高さ以上の山の入り口に祠(ほこら)を設け、これ以上は大型動物たちの領域として原生林を守ってきたのです。
明治政府は、その奥山まで杉と檜の生産畑にする方針を立て実行しました。湧き水、沢の水は100年単位で育まれるもの、その結果、山に降った雨が地下に浸み込むことができず、沢の水が枯れ、清流がたよりの生きものたちが絶滅の危機にひんし、田んぼで使う水が減り、最近では田植えが出来ない棚田も出始めています。
 今湧いている沢の水は、80年から100年前に山に降った水で、その水が使えるのは私たちの先祖が守ってくれていた奥山のおかげなのです。
現在日本の森林は67%だと言われていますが、本当に水を育み動物たちを養うことが出来る森と呼べるものは7%、残りの60%は人工林の真っ暗な林になっているそうです。このわずか7%の森が、未来の日本人の水を時間をかけて育んでくれているのですが、その水源域の森が、これからの水ビジネスの利権を見越した外国資本に狙われているのです。

日本の水源地に起こっている最新情報

 今年の5月か6月、私は日本の水源地が、外資に狙われているという記事を目にし、心配になって、奥山を守る活動をしている日本熊森協会の森山まり子さんにメールをしました。すると、今のところ、中国人に売ったという話は聞いていない、大台町の役場の人が、とっさに山を守ろうと対処したという話を聞き、当座のところは安心していました。ところが・・・・マスコミによると、その1000㏊の森は、東京の不動産会社が、土地ころがしをするために買ったということで、10年後に、高くして売ろうとしているようです。でも実態はわかりません。買主の東京の不動産会社の社長は日本人ですが、もしかしたら、中国人とつながっているかもしれません。10倍の価格でも買いたいと言っているらしい中国人に売る可能性は、利益を追求する企業行動としては当然ですから。
 この1000㏊の森の他に、この山主さんは、後680㏊の山も全部売りに出しました。ここも素性の分からない人に買われたらたいへんです。この情報を察知した日本熊森協会は、この山をトラストして永久に保全できないかと考え、山主さんや大台町長さんと次々と会ってお話し、山主さんもそうしてほしい思うようになったそうです。
 実は、この680haの中に素晴らしい場所があるのです。最近NHKのドキュメンタリースペシャルで放映した大台ケ原の雨の物語で、普段は草原であるところが、4月のある日に、突然地面から水が湧き出てきて1日で大きな池になるのです。そこで、モリアオガエルが木の上に産卵し、そのオタマジャクシが池で生長し足が生えて陸に上がる頃、池は突然消えて、元の草原に戻るという、不思議な現象が、毎年続いているところなのです。また、熊森協会の調査でも植物の絶滅危惧種が次々と見つかりました。

奥山の水源地が売りに出る理由

 この奥山がどうして守られたのかというと、「山の上の3分の1はさわってはならん」という今の山主さんのおじい様の言いつけを、お父様が守ったからだというのです。このお家は三重県一の山持ちでしたが、おじい様が亡くなられたとき、2億円の相続税を払うために、1000㏊の山を売ったそうです。そして息子の相続税を心配した今の山主さんが、残りの680㏊も売ろうとしているのです。日本の奥山の水源地は、日本人みんなの命の源であるはず、なのに山を愛する山主さんでさえ、山を売らなければ相続できない仕組みになっているのです。
「もう山なんかいらん」日本中の山主さんが、そう思っているので、今や私たちの国土の森や林は、二束三文です。これを狙って21世紀の巨大水ビジネスの外国資本が入ってくるのは、当然の成り行き、それから山を守る体制が日本にはないのが問題です。

官でやれないことは民が始めましょう

 これを守る1つの方法が、トラスト運動です。イギリスのナショナルトラスト運動は、政権政党が変わるたびに政策が変わる政府より、国民に信頼されて支持されています。自然を守るには息の長い活動が必要だからです。日本にも残り少ない原生林をトラストしている自然保護団体があります。それが日本熊森協会です。その規模は日本でダントツトップの1266ヘクタールです。良くぞこんな素晴らしいことを始めてくださったと、とても感謝の気持ちいっぱいです。100年先の子孫のために水を育む森を用意する先祖でありたいところですが、現状では先祖失格です。せめて誤りに気がついた時点で、方向転換をする先祖でありたいと思います。
 とにかく、大切な水源地は私たちの手で守らなければなりません。森山さんに協力して、ナショナルトラスト運動を、この日本でも民間主導で始めましょう。国には、国土を守るための資金に税金をかけない法律、トラスト法を作っていただきたいです。
自然医学の読者の皆さん、三重県大台町の680ヘクタールの奥山の水源地(1億円)をトラストするため、力を貸してください。後9000万円足りません。日本人の底力を出しましょう。

かたみとて 何を残さん 春は花 夏ホトトギス 秋はもみじ葉                              良寛
posted by medaka at 00:00| 地球環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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