2013年02月05日

田んぼはみんなを守っている

今年メダカのがっこうは、田んぼの存在の大切さをもっと知ってもらおうと思い、「田んぼはみんなを守っている」というのぼり旗を作り積極的にアピール始めました。田んぼの減反、日本人のお米離れからくるお米余りからくる田んぼの減反、お米が足りなかったら外国から輸入すればいいと軽く考えている日本の官僚たち。それはとんでもない考えです。田んぼは単なるお米の生産場所ではありません。田んぼは日本の宝です。そこで、田んぼの働きがどれほど素晴らしいものかを今日はいくつか挙げてみたいと思います。

1. 田んぼは塩害による砂漠化から日本の国土を守っている。

地球の歴史では、文明が栄え農耕が盛んになったところから砂漠化しています。耕してかんがい用水を撒いた農地は、地中の塩分や化学肥料として撒かれた物質が水が蒸散するときに地表に浮上し白っぽく貼り付き塩害化が始まります。こうして砂漠化が広がっていきました。それにひきかえ、日本の田んぼは1年のうち数ヶ月水が張られることで、毎年その塩害が地中に浸透し、砂漠化しなくてすんでいます。何千年もの間、農地として使い続けてこられたのは、田んぼに張る水のおかげです。

2. 田んぼは連作障害から農地を守っている。

畑で栽培する作物のうち、根のもの、葉のもの、実のものは、それぞれ必要とする微量ミネラルが違い、毎年同じものを一箇所で作り続けると、必要とするミネラルが不足し作物が病気にかかったりよく育たなくなります。これを連作障害といいます。それにひきかえ、田んぼは毎年入れる水が微量ミネラルを補給するので、何千年も同じ場所で同じ作物である米を作り続けることができるのです。

3. 田んぼはダムのように自然破壊することなく、日本の水源を守っている。

田んぼは人間が作った浅い水たまりと言えます。その面積は、国土の7%、湖沼の面積が国土の2%ですから、保水力の大きさがわかります。

4. 田んぼは日本の穏やかな雨の降り方を守っている。

自然農法の父、福岡正信さんは、「雨は下から降る」と言いました。砂漠の空の上にも雲は流れているのですが、もしそこに山手線の内側くらいの広さに草を生やすことができると、その葉っぱから水分が蒸散するとそこに小さな低気圧ができ、空を流れている雲が降りてきて雨を降らせるのです。福岡正信さんは、種が入った粘土団子を砂漠に蒔くことで草原をつくり、雨雲を呼び砂漠を緑化する構想を持っていました。日本では田んぼが雨を呼ぶ働きをしていると思います。ところがその田んぼがどんどん放置され、放置田、休耕田がどんどん増え、田んぼの水面がどんどん減っています。このことが、日本の四季や穏やかな雨の降り方に、悪影響を及ぼしていると私は考えています。今や乾季と雨季にはっきり分かれているサバンナのような激しい気候に近づいているようです。

5. 田んぼは水辺の生きものたちの住処を守っている。

この場合の田んぼは、冬や早春から水を張る田んぼのことです。田んぼと言えば、カエル、ドジョウ、メダカ、タニシ、トンボ、バッタ、サギ、カモなどが浮かびますが、これらの生きものたちの餌となり命を支えているイトミミズやユスリカなどは、田んぼに水が張ってあると恐しいほど繁殖します。何千年もの間、日本の田んぼは、たくさんの水辺の生きものたちの命をつないできました。冬の田んぼに水を張るのは水の無駄使いではありません。反対に水が不足する地域ほど、冬の間から田んぼに水を張ってきました。戦後、田んぼの乾田化がほぼ100%にまで進み、1年のうち3ヶ月半しか水が張られなくなり、絶滅危惧種が激増しました。絶滅危惧種の約半分は水辺の生きものたちなのです。

6.田んぼは日本人の優しい心や歌の心を守っている。

この場合も水が張ってある田んぼのことです。「帰る雁 田毎の月に 曇る夜に」(与謝蕪村) 秋、稲刈り後の棚田には昔は水が張ってあったようで、その水面に月が映り、その空をシベリアに帰る雁が隊列をつくって飛んでいる様を歌ったものです。2001年からメダカのがっこうも平坦部の田んぼで冬水田んぼを始めましたが、その水面に雪を頂いた山々や広い空が映る様は本当に美しいので感動します。深さ15センチ位の浅さとは知りながら、湖のような風景に心が癒されます。東北の田んぼではこの水面を目指して白鳥や雁がシベリアから渡ってきます。その姿を見ると道行くトラックの運転手さんもしばし眺めたり、近所のこどもたちや年配の方たちが見に来たりします。

7. 田んぼは日本の文化や景観を守っている。

田んぼには1年中行事があります。田植え前の田の神を迎えるお祭、地域の田植えが終わると「さなぶり」、台風の前には「風祭」、稲刈りの前のお祭、稲刈り後の収穫祭や秋祭り、年末にはワラでしめ縄作り、どんと焼きなど、私が知っているだけでもこれだけあります。また農家の方たちは集落全体の山の下草刈、ドブ掃除、神社の手入れ、畦や土手の草刈など、日を決めて共同作業で整備してくれています。この無償の働きをお金に換算すると日本全体で年間37兆円にもなるそうです。

皆さん、田んぼはみんなを守っているのです。田んぼがなくなると、日本がなくなってしまいます。本気でお米食とお米文化を復活させましょう。 
posted by medaka at 21:32| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お米はみんなの健康を守っている

 今年、メダカのがっこうは「お米党宣言」をしました。戦後、お米を食べると頭が悪くなるとか、カロリーが同じならご飯もパンもかわらない現代栄養学にすっかり洗脳され、日本人のお米離れが進み、今年ついに小麦の消費量がお米の消費量を超えてしまいました。私の子ども時代は昭和30年代ですが、栄養価が高い肉や魚や卵や乳製品をたくさん摂るのが良くて、「ご飯は残してもおかずを残さず食べなさい」と親からも先生からも言われたものです。しかも給食は全部コッペパンと食パンでした。母がハンバーグを作ってくれたのが小学校1年生の時で、その後食事の欧米化とスイーツと全体として食べ過ぎの食生活が浸透してきました。その結果、日本人の血管の壁は脆くなり、血液はドロドロになって循環器の病気とガンが急増しました。それでもなおかつ蛋白質の摂り過ぎの状況を変えようとせず、今だにご飯は糖尿病の敵であり、ダイエットの敵だとされています。今こそお米を見直してみましょう!

お米を食べるとどんな良いことがあるか 

お米の効能についていくつか挙げてみましょう。

 @お米を食べると36.5度の恒常体温が保てます。赤ん坊は37.5度で生まれてきて、こども時代を37度程で過ごし、おとなになると36.5度が平熱になり、歳をとるに従って35度と下がっていき、全ての機能が衰えると34度以下になって死んでいきます。古文書に「米はその性温なり」とあり、米からできる血は、36.5度の恒常体温を作ってくれる大切な食物であると記されています。この36.5度の体温は、腸内細菌の善玉菌が働きやすく、悪玉菌が働きにくい温度であり、その人の免疫力の源でもあります。

 Aまたお米を食べると、きめ細かい細胞ができます。例えば、玉の肌と言って田んぼ仕事の泥もするっと水で流れる美しい肌を作ってくれます。また傷のつきもよく、若杉ばあちゃんの話によると、昔の日本人は指が飛んでも、すぐ乗せて縛っておけば元通りになったそうです。それにひきかえ、パンを食べて出来た細胞はきめが荒く、同じ傷でも縫わなければ治らなくなったそうです。

 Bまた日本人はお米を食べると、踏ん張る力が出ます。男という字は、田んぼに力と書きますが、昔の農家の男は60kgの俵はもちろん、少し力自慢の男は2俵のお米が担げました。村の運動会では、毎年60kgの俵を担いで走る競技があったそうです。長いあいだ米を主食にしてきた日本人は、腸の長さが長く、腸内細菌もお米に合っているのです。エチオピアでもエフという主食に変わって小麦が入ってきたとき、小麦では力が出ない言う声があったそうです。体格では欧米人に及ばない日本人ですが、小柄な身体に体力や気力がみなぎっていたのです。身体の大きさで競う必要はないのです。

 Cご飯は、お米と水だけで短時間で無添加で炊けるので安全です。これをパンと比較すると、パンは材料だけでも小麦粉と水の他にイースト菌と砂糖とバターと塩が必要で、しかも発酵に時間がかかります。もし、お米と小麦粉の勝負なら、手軽さにかけてお米の勝利は明白ですが、今は企業がパンにして売っているわけですからパン食の方が簡単になってしまいました。しかしそのパンは何週間おいてもカビない危険な食物です。

 Dお米はお米を主食とする民族にとって、特別の存在です。「お米の効能は他のものの及ばないところである。」と記しているのは、中国に伝わる神農本草経を日本に紹介した食物本草です。その中に「米は内蔵の活動力をまし、煩悶をなくし、下痢の止め、筋骨を壮健にし、血液の流れをよくし、五臓の働きを整え、胃の活動を補い助ける。それ故、他のものと比べて論じてはいけない。」とあります。

E最後に伝えなければならないことは、お米のパワーは、玄米か胚芽がついている分づき米が持っているということです。日本語のコメという音は、彦(ヒコ)のコと、姫(ヒメ)のメで成り立っています。コはお米の澱粉の部分をさし、メは胚芽の部分をさしています。つまり命を生み出す男と女のパワーを持っている食物なのです。ですから、コメは、芽が出る部分がついている玄米を指しています。せいぜい胚芽を残している分づき米までがコメと言えるでしょう。もちろん、生きものいっぱいの田んぼで育った無農薬栽培のお米のパワーが最高です。

お米から広がる醸造発酵の豊かな食生活

 お米があれば、ご飯が炊ける、麹が作れる、甘酒が作れる、お酒が作れる、みりんが作れる、お酢が作れる、麹と大豆と塩で味噌が作れる。三五八やべったら漬などの麹漬けが作れる、今はやりの塩麹が作れる、糠と塩でたくあんができる、糠漬けができる。私たちの先祖は、主食を米に決め、その米で美味しい食生活が送れるように豊かな発酵醸造文化を残してくれました。これらを私たちが大切に受け継ぎ、更に発達させていけば、米という日本で自給できる食糧だけで、美味しくて飽きなくて健康な食生活ができます。最近では、もみ付き玄米を黒焼きにすることで、黒焼き玄米茶が加わりました。
 メダカのがっこう自給自足くらぶでは、麹から作る味噌作り、醤油作り、梅干し作り、たくあんづくり、甘酒教室、黒焼き玄米茶作り教室、たくあん作りなど、会員農家が作った無農薬栽培の原料と日本の海塩で作るワークショップを開いています。毎年1つずつでも基本的な食料が作れるようになれることは、嬉しいことです。生きる自信が湧いてきます。ご一緒に学びましょう!
posted by medaka at 16:00| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月17日

放射能汚染と向きあうメダカのがっこうの姿勢

原発事故から6か月以上たち、農家の苦悩に胸を痛めなら、田植え、草取り、稲刈りを手伝い、今年の稲作りも終わりました。この間に心が落ち着き、考えがまとまりました。
まず、起こってしまったことはしっかりと受け止めて、今まで一緒に農薬や化学肥料を使わず、いのちを大切にする農業で、日本の自然環境を取り戻す努力してきた会員農家と、これから放射能汚染された大地を浄化して、更なる自然再生に向けてがんばろうと思います。なぜなら、土を背負って逃げられない農家と私たちは一心同体、運命共同体なのですから。どこへ逃れるも自由ですが、日本中がお金と効率が世の中を動かす仕組みの中にいるのですから、今この場を離れず根本から解決していくより他に、子孫のために生きる環境を整える先祖にはなれないと考えるからです。

ベクレルモニターを購入し汚染の実態を知る

 そのためにまずやるべきことは、現実を知ること。大切な土がどれほど汚染されてしまったか、そこで育った作物がどれほど影響を受けるのかを知ることが始めです。そのためにメダカのがっこうはベクレルモニターを購入し、田んぼの土、畑の土、ワラ、玄米、白米、黒米、緑米、小豆など収穫した順に測り始めました。
メダカのがっこうが使用しているベクレルモニターは、ドイツ・ベルトルート社のLB−200で、検出限界値が20㏃(ベクレル)です。ですから20㏃以下の数値は信頼性が低いためこの検査機器では検出できません。しかもセシウム137、セシウム134、ヨウ素131などγ線の合計の値が出る上、自然界にかなり多く存在するカリウム40も測定してしまう検査機器なのです。しかし安全性を知るにはこれで十分と考えています。
今年の計測結果で分かったことは、土の放射線量が2000㏃以上ある福島の田んぼであっても、お米はどれも0もしくは20㏃以下で「検出せず」であり、土の中の放射性セシウムを稲は種であるお米に殆ど取り込まなかったということです。栃木県や千葉県の農家のお米も全く検出しませんでした。もし20㏃を超えるものが出た場合は、検出限界値が1まで測れるゲルマニウム半導体検出器に検査に出していただく様、農家にお願いするつもりです。というのも、このLB-200 というベクレルモニターは、すべてのγ線の合計を出すので、高めの値が出る傾向があり、これをゲルマニウム半導体検出器で測定すると、全く検出しないケースがかなりあるのです。 

今行われている除染の方法は悪いところを切る現代医学と同じ

 次に始めることは、土の除染の研究、実験です。現在行われている除染の方法はおかしいと思います。放射線量が高い湿った土や苔や草を取り除き袋に入れて捨てるとか、土を剥して地中深く埋めるとか、根本的な解決ではありません。まるで悪いところを切り取って治そうとする現代医学を見ているようです。苔や草はセシウムを集めて地球をきれいにしようと働いてくれる私たちの味方かもしれません。疑問がムクムクと湧いてきたので、私の自然観を育ててくれた2人の師匠に聞いてみました。
十草農法の廣野壽喜先生は、今年は田んぼに冬水を張らずに草をいっぱい生やしなさいと言われました。アメリカセンダンクサや荒々しい草がどんどん生えるかもしれないから、どんな草が生えるかよく観察しておき、実験前と実験後の土の放射線量を調べてみるようアドバイスをしてくれました。
また、「ニンジンから宇宙へ」の著者であり、草を神草さんと呼んでいる赤峰勝人さんは、田畑に海水を撒くようにアドバイスしてくれました。理由は、放射能は極陰なので、極陽の海水が有効なのだということです。極陽といえば、若杉ばあちゃんは炭をどんどん焼いて入れるようにと教えてくれています。これは量がいるので大変ですが、竹炭を焼く体制も整えたいと思っています。皆さんも出来たらどんどん実験してください。
メダカのがっこうの理事の中にも、放射能を分解する菌の勉強を始めた方もいますが、とりあえず特許や企業秘密が必要なものは使わず、どこにでもあって誰にでも出来る草と海水(塩)と炭を使って浄化する実験を、農家の協力を得てやってみようと思います。

今までより元気になるチャンスにしよう!

 次に私たちの体の放射能汚染対策も、味噌という塩気と黒焼きという炭が有効です。食生活は米中心で、味噌や醤油味の一汁一菜、腹7分目で梅干しや梅干の黒焼きや黒焼き玄米茶やマコモ茶などを摂っていれば、身体に入った放射性物質だけでなく、今まで溜め込んできた添加物や甘味料や農薬や化学肥料など様々な化学物質を吸着して体の外に出してくれるでしょう。以前よりずっと元気になるチャンスと思って、喜んで取り組みましょう。クヨクヨしたり、東京電力を批判していてもつまらない人生になるだけで、もったいないです。
 そして、放射線だけでなく、ますます巧妙に命を破壊する減農薬の農薬、除草剤、保存料の代わりに使用されるコバルト60の照射食品の増加、鮮度保持剤など添加物の危険にも注意を払い、前よりも一層いのちを大切にする農家たちと手を結び、田んぼ組で米を確保し、醤油、味噌、梅干を原料から作り、自給力をつけていきましょう。
歴史に残る大災害に遭遇した私たちだからこそ、命ある食と生きる環境に困らない日本を次世代に残す先祖となれるのです。
posted by medaka at 10:04| メダカのがっこう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月12日

3.11後、今日本に生きる私たちの代でやっておきたいこと!

3月11日以降、張り詰めた気持ちが続いています。それ以前に書いた原稿がすべて間抜けに感じます。今までと違います。原発事故が起こったことで、日本人として広島、長崎の被爆者に申し訳ないやら、核の平和利用を容認してきた自分の無知と無関心が恥ずかしいやら、悔やしいばかりです。
ですが、これを機会に、今日本で進行中の原発に相当するくらいおかしいこともしっかり見つめ、これらを解決して美しい日本の国土を次世代に渡せるよう、私たちの世代でやっておきたいことを、掲げておきたいと思います。

脱原発の決心をしましょう!

原発事故はまだ進行中です。メルトスルー後、緩慢なる核物質拡散、地下深く潜り地下水脈にぶつかるという意図しない地下実験が進行しています。核は人間には制御不能な怪物です。また、原発事故の収束作業がひとつ進むごとに、被爆した人が増えている事実、定期点検作業でも被爆無しにできないそうです。このように人の健康を犠牲にして生まれた電気を平気で使っていたのかと思うと恥ずかしい限りです。原発に賛成の方、収束作業や定期点検に交替で行ってください。1本のねじを締めるのに、400人くらいの人が被爆するそうですよ。
こんな状況の中、メダカのがっこうの会員農家の方たちは、種まきをし、苗を育て、田植えをし、草取りをしています。心の中は不安でいっぱい、でも農家は土を背負って逃げるわけには行きません。何代にも渡って整備してきた田畑、長年かけて肥沃にしてきた土、農薬や化学肥料を使わないで整えてきた多種多様な生きものたちの生息環境、これがたった1回の事故で放射線に汚染されたらと考えると、死にたくなる気持ちの方がよく分かります。地震や津波からは何とか立ち直れるでしょう。1000年に一度の国難であろうと、先祖が経験してきたことでもあるので。でも今回の原発事故は違います。広島原爆の500倍もの放射線量が拡散しているのですから。脱原発を決めなければ、これから先、農家が農地を復興していく気持ちには到底ならないでしょう。
「国敗れて山河あり」、経済発展より清らかな土・水・空気が一番大切です。

土・水・空気の浄化をしましょう!

 これが私たちの世代の大仕事です。方法はいろいろあります。先日、田の草フォーラム講師でおなじみの民間稲作研究所の稲葉光國さんを訪問し、「放射線汚染の土を浄化するヒマワリ・菜種・大豆プロジェクト」のお話を伺ってきました。栄養を吸い上げる力の強い植物たちに、カリウムと間違えてセシウムを土の中から集めてもらう計画です。そして種から油を搾り、油にはセシウムは入らないので、それを農家の収入にします。最後に、セシウムを吸い上げた残渣をバグフィルター付の焼却炉で燃やし、ガラス粒に閉じ込めてスラグにし、それを東京電力にお返しして、廃炉に閉じ込めていただく計画です。

農薬・化学肥料と決別しましょう!

放射線だけを恐れるのは、おかしなことです。農薬(農毒)は放射線と同じくらい危険なものです。金額ベースで世界の半分の農薬がこの狭い日本に撒かれているのですよ。日本人女性の羊水が世界で一番汚れていることは、これと無関係ではありません。
日本中の農地に撒かれているダイオキシン系除草剤の催奇形性は、ベトナムの枯葉剤の影響で有名なベトちゃん・ドクちゃんに代表されるように、放射線と同レベルです。
また、減農薬や認証米では、必ずといっていいほど使用されているネオニコチノイド系殺虫剤は脳を犯すことで社会性の動物であるミツバチを激減させました。ネオニコチノイドは減農薬を可能にしたことでアメリカの化学賞を受けた農薬です。人間には無害だと言われてきましたが、最近、未発達の子どもの脳に悪影響があることが分かってきました。
また、農薬の空中散布を止める代わりに苗箱に使われているフィプロニル系殺虫剤は、苗に浸透させる農薬です。その苗を植えた田んぼではアカトンボのヤゴが全滅し、他のトンボ類も激減します。まだまだ恐ろしい農薬があります。放射線汚染だけを恐れるのではなく、里山の生きものたちを殺して育てた米や野菜も食べるのをやめましょう!

遺伝子組み換え種から脱却しましょう!

今年はじめ、除草剤に耐性を持ち、その葉っぱを食べた虫が死ぬ遺伝子組み換え大豆の日本での栽培許可がおりました。また同じく殺虫能力をもつ遺伝子組み換えトウモロコシや、遺伝子組み換え菜種も日本での栽培許可申請が出されています。種汚染の恐れと、種汚染を受けた有機農家が反対に特許侵害で訴えられる恐れがあります。生態系への影響も心配ですが、在来種を守り自家採種する農家を潰し、毎年除草剤と種をセットで買わなければならないように仕向ける戦略は、何より恐ろしいことです。なんとしても、日本の素晴らしい農家たちを守らなければなりません。

以上、大問題と大仕事はたくさんあります。大変そうでも、まず足元から。米中心で味噌、醤油味の一汁一菜の食生活にすると、心身が立ち直ります。そして元気に日本の土、水、空気の大掃除に取り掛かりましょう!そして、先住民族の教えのように、七代先を考えて行動する慎み深い人間世界を、今日本に生きている私たちの代から取り戻しましょう!
posted by medaka at 15:32| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月27日

3月11日以降 私たちに求められていること

 1945年原爆が落とされた広島の爆心地に生えてきた草を記録した記事が雑誌に載りました。以下引用します。

立上る雑草
                                    結城一雄
 広島の焼野が原は、原子砂漠と言われていますが、その原子砂漠に今や数々の雑草が雄雄しく立上っています。閃光一瞬、広島の人達が被ったごとく、彼ら雑草の大半は死滅したものと思われていました。当時の強烈なウラニウムの放射は、広島に70年間生物を住まわしめぬだろうとさえ言っていましたが、広島復活の先駆は、実にナズナ、ウマゴヤシなどの雑草たちによってなされたのです。爆心地の湖畔から広島城跡一帯のかれらの繁茂は驚くほどです。緑に飢えた砂漠の人々のオアシスとなっているのです。スクスクと何物にもひるまない逞しいかれらの成長は、戦の疲れから抜けきらない人達への無言の教示とも言えましょう。
 原子砂漠に生じた雑草の原野に、かれらを訪ねてみたいと思います。爆心地より広島城跡を経て泉低にいたる経路(爆心地より1500m圏内)において採集し得たものは次のようなものです。
ハハコグサ オニタビラコ ハルノノゲシ トキンソウ ヒメムカシヨモギ アレチノギク ヨメナ タンポポ シロバナタンポポ ヨモギ ノアザミ チチコグサ ノジシャ ソクズ アカネ ヤエムグラ ヤイトバナ  オオバコ ヘラオオバコ イヌノフグリ オオイヌノフグリ タチイノフグリ サギゴケ カワジサ イヌホウズキ トウバナ キランソウ カキドウシ オドリコソウ キュウリグサ コナスビ ヤブニンジン チドメグサ ノチドメ マツヨイグサ オオマツヨイグサ スミレ エビヅル 
トウダイグサ ゲンノショウコ                 「採集と飼育」No.8(1946)

人が立ち上がる前に草が立ち上がった

いかがですか。41種類の草の名前が記録されています。現在、世界各地で原始砂漠となっているところは、確かに草木も生えない状態です。広島の爆心地に生えてきた草たちは、原爆で生き残った方たちに、自分たちも生きられるのではないかという希望を与えました。そして草たちはどんどん繁茂し枯れて土になり大地を浄化してくれたのです。詳しく言えば、それぞれの草の根っこに住んでいる菌が働いて分解してくれました。日本が脅威の復興を成し遂げたのは、草と菌のおかげだったとも言えるのではないでしょうか。この記事の筆者、結城一雄という方は、研究者でも植物学者でもなく、歌人だったそうです。草から生きる力をいただくところなど、日本人の自然観を感じます。
 「立ち上がる雑草」は1945年、原爆後の広島に生えた草たちの記録です。そして、2011年、原発事故後の土と水と空気を浄化してくれるのも、草と菌たちです。

3月11日以降、私たちに求められていること

草と菌を殺す化学肥料と農薬を一切使わない農業
 チェルノブイリ以来、土の浄化に有効な植物たちとして、ヒマワリ、菜の花、麻、マコモなどが注目されてきています。この研究も非常に大切ですが、もっと大切なのは、普通のすべての草たちです。
 虫たちも大切です。命の周期が短い彼らは、毒を取り込んでは土に還り、浄化を早めてくれます。また、津波に襲われたヘドロと塩害の田畑を復活させてくれるのも植物と菌たちです。
 もうひとつ、土の浄化に非常に有効なものがあります。それは炭です。陰陽では、放射能やヘドロ(腐敗している泥)は極陰、これに有効なのは極陽の黒焼きや炭なのです。瓦礫や流木を炭にして撒くことはとても有効なことです。また人間の身体に黒焼きを入れることもとても有効です。考えてみると炭も植物です。やはり植物が私たちを助けてくれるのですね。
化学肥料と農薬、生活排水、工場排水や産業廃棄物、そして放射能汚染、私たちは、たった70年ほどで、地球に生きる命にとって一番大切な「土」と「水」と「空気」を汚してしまいました。この汚れを浄化し、もうこれ以上汚さない社会にすることが、今日本に生きる私たちの世代の大仕事ではないでしょうか。   
    
原子力発電に頼らない社会
 発電を始めたら止めることが出来ない原子力発電は、どんな社会をもたらすと思いますか?それは24時間エネルギーを使い続ける眠らない社会です。人間も家畜も作物も、昼夜分かたず働かされ、卵を産まされ、生長させられる世界です。この社会が人間を含めた地球の生きものたちを幸せにするとは私にはとても思えません。
 またいったん事故がおきたら、長年培ってきた田畑の土や、代々守ってきた家や自然、生まれ育った故郷を一遍に失ってしまいます。
 電力の30%減は、一般家庭の節電、自動販売機、24時間営業をやめるところから始めましょう。それでも電車や工場が制限され、経済活動が縮小するでしょう。それは地球環境にとってとてもいいことなのです。世界経済の競争から胸を張って抜け、美しい自然といのち輝く国にしましょう。原子力に頼らない社会を再構築し子孫に残すところまで絶対にがんばりましょう。パンドラの箱を閉めて封印して見せましょう!

命ある食物で自給自足体制
 今回の大地震でスーパーの棚が空になった光景がありました。本当に物がないわけではないのに、日本国内の輸送ができなくてです。これで大切な食料を外国に頼ることがいかに危険であるかが誰の目にも明らかになりました。出来るだけ近いところでがんばっている日本の自然再生の拠点となっているすばらしい農家たちと一緒に自給自足体制をつくることが不可欠です。これは既にメダカのがっこうが始めています。

今度こそ現実を見つめなければ。
 広島、長崎に続く、原発事故、放射線量は広島の500倍以上の現実。事故が起こると対処の仕様がないから、事故が起こらないことにしていた東電と政府と私たち。怖いことは考えたくありませんからね。でも、本当のことがわかってくると、原子力と言う誰も止められない怪物と付き合うのはもうこりごりです。でもどうしてやめられないかと言うと、悲しいかな利権でしょう。アメリカが原発を売りたいからでしょう。戦後どうして原発を受け入れなければならなかったかと言うと、やはり戦争に負けたので、NOと言えなかったのです。米食、塩、麻、エネルギーなど、敗戦で失った日本人の命を支えるものたちの大きさに改めて驚くばかりです。
 でも今度こそ現実を見つめ、子孫の残したい日本にする間違わない選択を行いましょう!
posted by medaka at 12:39| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月16日

若杉ばあちゃんから、放射能汚染を乗り切る食生活のアドバイス

若杉ばあちゃんからの伝言

11日の大地震、皆様のお家、ご家族、ご実家、ご友人など、ご無事でしたか?東北地方から関東地方まで、日本の半分を襲った大地震。怖くて、自然の脅威に震え上がりました。
原発の安全性は、見事に崩れましたね。今命がけで行われている原発事故の終息作業が、成功裡に終ることを祈っています。

そして、二度と原発に頼らない暮らし方に変えようと心に決めました。計画停電をチャンスに、電力消費がどれくらい減らせるものか、みんなでチャレンジしましょう。

さて、メダカのがっこうの自給自足生活の師匠であり、日本人の身体を立て直す食事を指導してくださっている若杉ばあちゃんから、放射能汚染を乗り切る食生活のアドバイスを頂きましたので、お伝えします。

○塩気について
「塩気を入れなさいよ。一番いい塩気は味噌汁。薬味味噌とか、味噌だけでもいいからね。」
○梅干について
「水の毒、食の毒、血の毒という三毒を消すといわれている梅干も必ず食べてね」
○食べてはいけないもの
「何しろ血液を薄くしないために、水を多く摂らないで。また陰性にしないために、甘いもの、果物、生野菜は絶対に摂らないようにしてね」
○お茶について
「緑茶はやめてね。三年番茶か、梅醤番茶がいいよ。黒焼き玄米茶は最高だけど、この際煮出すのはもったいないから、そのまま食べるか、粉にして食べるといいよ。」

補足説明 : 梅醤番茶の作り方は、梅干しと生姜の絞り汁と醤油を湯飲みに入れて崩してよく混ぜ、そこに三年番茶を注ぎます。

○お米について  
「お米は玄米にしなさい。いつもは玄米にこだわらなくても良いと言ってるけど、こういう時は玄米がいいのよ。焼き玄米おにぎりは最高だよ。」
○調理の仕方について
「煮物は、酒やみりんを使わず、醤油と水だけで、昆布だしで作るといいよ。」
○海草について
「今までに採って乾燥している海草、昆布、ワカメ、ひじきは大丈夫だからたくさん食べてね。放射能汚染の海で育った昆布は食べられないから気をつけて」
○食事の形について
「余計なものを食べんと、一汁一菜がいいのよ。たとえば、玄米ご飯と、季節の野菜か野草が入った味噌汁と、梅干、たくあん、漬物とかね。」
○放射能の毒を消すものについて
「とにかく黒焼きを身体に入れなさい。梅干の黒焼きは最高。黒焼き玄米茶もいいし、昆布も、ビワの葉、松葉、クワの葉、つくし、野草など、何でも干してから黒焼きにしてね。」

補足解説 : 黒焼きのつくり方について

●梅干の黒焼きは、土鍋の中央から右回りにぎっしり3年以上の塩分25%〜30%の梅干を一皮並べに並べます。重ねると黒焼きにならないので注意。蓋をして周りと蓋の空気穴に小麦粉を水で練ったもので目張りをして、24時間焼きます。練炭七輪が便利です。出来たら熱いうちに蓋を取ると燃えてしまうので、冷めてから取り出し、すり鉢に入れ潰して種を取り、右回りにすりつぶして粉にします。種は捨てないでしゃぶっています。
摂取の仕方ですが、健康な人は、1日に耳かき1杯で良いのですが、非常時には、小さじ1杯ほどとってもいいです。胃を荒らさないよう葛粉を溶かして一緒に摂ると安全です。

●黒焼き玄米は、理想は籾つき玄米ですが、手に入らなかったら玄米でもいいです。これをヘラでかき回せる程度の量を土鍋に入れて、火にかけます。はじめはお米を乾燥させるつもりで弱火で、茶色になってきたら中火にして、最後は真っ黒になるまで強火で炒りあげます。もうもうと煙が上がり、鍋に焦げつきそうになるのをヘラで剥すのにかなり力が要ります。最後は火からおろしてカラカラになるまで混ぜ続けます。

●他の黒焼きは、土鍋にこだわらなくても、鉄のフライパンでも作れます。(何とか加工のフライパンは使わないで) その代わり空気を入れないように、しっかりと蓋をして弱火で焼きます。

若杉ばあちゃんからは以上です。食の力がわかるときです。がんばりましょう!                            
追伸: ご質問はお気軽に事務局まで、メール、FAX、 お電話で下さい。(@から希望順)
@メールアドレス:npomedaka@yahoo.co.jp AFax:0422-70-6648 BпF0422-70-6647
posted by medaka at 20:17| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月16日

見えてきたメダカ流自給自足の形

企業から家業へ

 メダカのがっこうの自給自足の師匠、若杉ばあちゃんは、命を支える食は経済効率を追及せざる終えない企業に任せるのは止めて、命を優先する家業で作るべきだと提案し、実践に移しています。それに続く私たちも、2010年自給自足くらぶを結成、米だけでなく基本的な調味料や食材を作り始めました。
今年メダカのがっこうで会員農家が作ったすべて無農薬・無化学肥料の最高に贅沢な材料で、味噌、醤油、梅干、どぶろく、コンニャク、たくあんと作った人は、生きる力がかなりアップしたと思います。そして面白くてたまらなくなったでしょう。買う生活は楽ですが、その楽な暮らしにもう戻りたいとは思わないでしょう。

 それに少し困ったことに、味の違いが分かってしまうと、買ったものが食べられなくなってしまうのです。味の違いはすぐ分かります。つい先日醤油搾りの仲間と、搾りたての醤油を湯飲みに少しいれお湯を注いで飲んでみたところ、まるで昆布だしで作ったお吸い物のようにおいしいので、みんなで感動しました。これと同じことを市販の醤油で行うと、いろんな添加物が薄まって気持ち悪い味になって飲めたものではありません。米と塩と調味料は、自分で作るか、作る人と深く関わって仲間になるしかないと思いました。
 さて、その自給自足の仲間作りには醤油造りが最適ではないかと最近思うようになったので次にそのことをお話しましょう。

新しい村、新しい結(ゆい)になっていくかも

 味噌や梅干や漬物などは1人でも作れますが、醤油搾りは皆で協力し合わなければ出来ません。搾り師を中心に、早朝から大量のお湯を沸かし、湯を運び、搾り終わったら搾り袋をひっくり返してモロミ粕を出し、袋を3回洗いして干し、醤油を釜に入れて火をいれ、60度まではゆっくりと、その後は88度まで一気に炊き上げ、さっと火を落とし、棒目計で比重を計り棒目1.7で最後の調整をする。皆がすべての行程を理解し、気をつけ、指示されなくても声を掛け合って働き、それぞれが持ち寄ったモロミが次々とおいしい醤油に生まれる変わる場に立ち会い喜び合う。現代では都会でも田舎でも味わうことが出来ない共同作業の喜びがここにはあります。1度味わうと病みつきになるほど身体は大変なのに楽しい時間なのです。醤油造りは私の両親の時代も村仕事だったようです。今ではなくなってしまいましたが、私たちの活動から生まれたこの仲間は、新しい村、新しい結(ゆい)のような存在になっていくのではないでしょうか。

各地に広がる醤油師たち

 醤油造り2年目にして、綾部は既に独自で搾りはじめています。また、伊豆大島の阪本さんも、大田原の2大農家、水口さんと杉山さんも自給自足会社をめざす佐藤さんも、味噌造りの山崎さんも、地元の核となって始めたいという希望をもっているので、岩崎先生から醤油搾りの研修をしていただきました。それぞれの方は自分で何でも工夫して作れる兵ばかりですので、さっそく醤油搾りの舟の設計図を元に、搾り船を作る予定です。この世界に企業秘密はありません。それは萩原師匠の精神を継承している岩崎先生が、みんなが醤油搾り師となって、それぞれの地域の手造り醤油の中心になってほしいと願っているからです。

見えてきた自給自足の形と価値観

 自給自足体制は1人や1家族ではできません。農薬・化学肥料を使わないで命を大切にしている農家と提携する必要があります。調味料に至っては、大豆、小麦などを有機栽培か自然農法で作ってくれる農家、私たちの活動を理解してくれる麹屋さん、日本の海水で塩を作ってくれる塩屋さん、皆が集まれる場を提供してくれる人たちと仲間を作ることで手造り体制をすることができます。
 そしてその仲間たちを結ぶためには、とても大切な価値観がひとつあります。それは、
@日本人の健康を支える根本的な食、米、塩、味噌、醤油などに関しては、優先的に予定を組み、市場経済からはずして考えること。
A一人ひとりが、醤油搾りの萩原忠重さんのような独立独歩、独学の精神を忘れず、先駆者への感謝を忘れないこと、そして、お金さえ出せばいいだろうという考えを捨てること。
B常に自分の頭で考え、仲間のことを思いやり、自分が出来る無償の働きを惜しまないことです。

 各県、各地域に生まれようとしている醤油搾り師を核として、必要な時だけメダカのがっこうがお手伝いして仲間作りをし、定期的に情報交換の場を設ける。企業から家業へのビジョンがかなり具体的になってきたでしょう。これがメダカのがっこうの活動を通して、見えてきた自給自足の形です。

posted by medaka at 17:28| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

恐るべし!マコモの浄化力

若杉ばあちゃんのマコモ料理ツアー

 10月23日(土)24日(日)、大田原の水口農場で、1泊2日若杉ばあちゃんのマコモタケ料理教室がありました。水口さんは、6町歩を無農薬・無化学肥料の冬・水・田んぼでお米を作っているスーパー農家です。どうしてここが会場になったかというと、水口さんはここ5年、マコモを栽培し始め、昨年はマコモタケを2000本以上出荷するほどになりましたが、実はそれは2005年の夏、綾部の若杉ばあちゃんから送られてきた5株のマコモの苗のうち3株を水口さんに株分けして植えてもらったのが始まりなのです。
 この5年、マコモは全国に広がりました。ばあちゃんの株分けから始まり、増やした人がそれぞれ株分けしていったからです。その中でも水口さんはダントツ、さすがスーパー農家です。それに、今年彼は、昔の牛舎を地元の檜材で改築し、味噌・漬物などの加工場と自給自足研修所を作ったことをばあちゃんに話すと、「水口さんはすごい百姓だね。私会ってみたい」というので、2人の出会いが実現しました。

マコモについて、若杉ばあちゃんのお話

 「マコモは、縄文人たちの日常食だったのよ。昔は日本中の村や川には、ヨシやアシと一緒にどこにでも生えていて、葉はお茶にするだけで、血液の浄化と細胞の活性化になるし、マコモタケは繊維が多く、腸の煽動運動を起こし便秘を解消するのよ。マコモは聖なる霊草で、出雲大社では神事や祭事にマコモを敷くし、お釈迦様は多くの病人にマコモ茶を飲ませたり、葉で編んだ布団に寝かせた話は有名よ。
 マコモが人体に入ると、血液、体液、リンパ液、細胞液、唾液に浸透し、内臓部分から緩やかに穏やかに不必要な老廃物や毒素が、吐き出され排泄され、身体や心が浄化されるのよ。」と話には聞いていましたが、私は今回それを体験することになりました。

排毒が始まる

 私は、10月はじめから我が家のビオトープに出来たマコモタケを食べ始め、12日、大量に水口さんから送ってもらったマコモタケを毎日食べ、マコモ茶を飲み続けていました。15日も17日もマコモタケの料理教室、23日も水口農場で、若杉ばあちゃんの助手をしながら、マコモタケ料理尽くしを堪能し、生葉で煎じたマコモ茶を飲みました。すると、23日の夜中から、足からジンマシンが始まり、膝、腰と広がっていきました。尋常ではない痒さに夜も寝られず、朝まで我慢し、5時にばあちゃんのところに言って聞きました。すると、「それは排毒が始まったんだね。陰性の人は激しく出ないのよ。足は魚の毒、関節や膝は卵の毒、腰から下は陽性の毒だよ。生姜油を塗ると少し楽になるからやりなさい。家に帰ったら生姜で足湯をするといいよ。」というので、さっそく生姜を摩り下ろして汁を絞り、生姜汁とごま油を1対1で右巻きに回転して混ぜ、生姜油を作って塗りました。少し楽になったので、午前中の座談会とほうれんそう畑の草取りを済ませ、お昼もマコモづくしの料理を食べて帰路に着きました。
 すると、車の中で足から腰、両腕、お腹、背中、首周り、頭まで痒さが移動しながら広がっていき、生姜油を塗りましたが、治まる様子はありません。やっとの思いで、家にたどり着き、全身に生姜油を塗ろうとお風呂場に行って鏡を見てびっくり、顔以外、全身にジンマシンが世界地図のように出ていました。言われたとおり生姜の足湯をし、眠ってしまおうとしましたが、体が布団の中で温まると、とても寝てはいられず、全身かきむしってしまいます。

2日目、目がパンパンにはれる

それでも少しウトウトして翌朝目を覚ますと、今度は目が腫れ上がっていました。これでは渋谷東急に出店しているおむすび茶屋に行くのは無理かなと思って、ばあちゃんに電話すると、「それはあんたもいよいよ血の建て直しが始まったんだから、医者に行かんでしっかり治しや。私ら親子も目がパンパンに腫れたこともある。首から上は砂糖の毒だよ。腫れが全身移動するのは、どこから排出しようか探しているんだよ。ヨモギで腰湯をしなさい、それから生姜の足湯もしなさい。生姜油で頭をマッサージしたり、こめかみに塗りこみなさい。それから、こういうときは、動いて身体から炭酸ガスを出した方がいいんだから、マスクでもして仕事に行きなさい。あんたがおらんと困るやろ。」というお言葉をいただいて覚悟。言われたことを全部して、梅干の黒焼きをなめ、顔を手ぬぐいを深くかぶって隠し、渋谷東急に行っておむすびを結びました。足や腕、背中の痒さは堪りませんでしたが、ようやく1日が終わり、家に帰って、もう一度ヨモギの腰湯と、生姜の足湯をして休みました。

3日目、排毒の様子を人に伝えられる人になろうと覚悟

 次の朝、若杉ばあちゃんから「どうや」という電話があり、腰湯、足湯、マコモ茶、梅干の黒焼きなどやって少し治まったことを報告すると「写真を撮っとけばよかったのに。排毒の様子を観察して人に伝えられるようにならんとな。おしっこの味を見てごらん。おしっこにも5味があるんよ。塩っ辛いのは魚の毒、水みたいなのは砂糖の毒だよ。それから梅醤番茶も飲むといいよ。」という指示を受けました。そこで25年物の梅と生姜と自家製醤油をマコモ茶で溶いて飲みました。この日はほとんど痒さに悩まされることもなく、目の腫れもかなり治まり、4日目は全身がほぼ平常に戻りました。
 ばあちゃんは、「排毒は何回もやってくるから、悪いものは一切止めて、マコモ茶でどんどん洗い流すんだよ。」と言いました。
マコモの浄化作用は恐るべし。覚悟が出来ている方、お試しあれ。 
posted by medaka at 17:21| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

地球の庭師に出会いました

 この8月、大きな出会いがありました。長野の黒岩農場でお会いした矢野智徳さんです。この日、黒岩農場では、「いのちめぐる大地の再生講座」が行われており、矢野氏は講師でした。ほんの半日でしたが、彼から自然再生の根幹である水の流れ、風の流れを整える基本的な考え方を学ばせていただきました。それは今まで感じていた違和感、自分の自然観と行動とのギャップが一辺に晴れる素晴らしいものでした。

 メダカのがっこうが、この10年続けてきた田んぼの生きもの調査が、田んぼの健康診断にあたるとすれば、今回出会った大地の再生講座は、もっとバランスよく生きものたちが住める農地にするための具体的施法にあたります。メダカのがっこうも、調査結果を踏まえて、農地の根本的な環境再生への処方が提案できるようになりたいと考えていたところでしたので、時期を得たありがたい出会いでした。

農場での大地の再生講座

 矢野智徳さんは、地上の木の姿から地下の水の状態を読み、水の道を整える工事を移植ゴテ1本でしてしまいます。彼は大学で自然地理学を専攻中に、1年間日本一周の見聞を経て、独自の造園業を始めた方で、環境再生医でもあられます。
@ 地上の姿から地下の水の状態を読み整える
黒岩農場での矢野さんの再生講座は、3月、5月にひきつづき3回目、前回は、梅の枝の枯れ具合から、近くを流れている水路の水が地下に入って梅の根を傷めていることを発見、水路を切り直し、地盤を固めて水の道を変える処置をしたところ、この日までに、梅の木は元気を取り戻していました。しかし今回は、その水路に草が繁茂し、水面が見えなくなっていました。この草が大きくなりすぎると根が地盤を緩め、再び水が漏れ出す恐れがあるため、草刈りの必要があり、その方法を学びました。
A 草の刈り方で風の道を整える
 矢野さんは、遠く山のほうをさして、「山の渓流が木々に覆いつくされることがないのは、谷を吹きぬける風や雨、時には台風が枝を折って適度に整えるからです。ですからここでは草が風で自然に折れるところを目途に刈りましょう」と、草をなでながらサクサクと刈り始めました。まるで美容師さんが髪をカットするような手つきで。

幼稚園の園庭の健康再生

 矢野さんの自然再生方法に魅せられた私は、彼が手がけている東京の幼稚園の園庭を手入れする日程を教えてもらい、見に行きました。その幼稚園は東京の住宅地とは思えないくらい屋敷林に囲まれた広い敷地に建っていました。
B 踏み固められた地面に浸透力を取り戻す
 幼稚園の園庭は、園児たちによって踏み固められていました。すると表土から水も空気も通らなくなり、地下では水が滞りヘドロ化し、その周辺の木々が元気をなくしてしまいます。そこで、まず緩やかに水が流れる水筋を作り、水が溜まる場所をなくし地面が呼吸出来るようにします。今までの処置で園庭にはだんだん草が生えるようになっていました。草が生えると地面は息を吹き返し、水の浸透力が復活します。水が入るということは空気も入るということで、地下に滞っているヘドロ化した水が動き始めるのです。実際、桐の木が元気になり始めていました。この木は前回、元気をなくして表皮がボロボロになっていたそうですが、今回は元気を取り戻し、自分で表皮を治してツルツルになっていました。
C 地面を草で覆って健康な表土回復
 地面をすべてアスファルトとコンクリートで覆ってしまう都市では忘れ去られていますが、地球の表面は、本来草で覆われているのが健康な姿なのです。そこで、草が生え始めている周辺に、剪定した木をチップにした有機物や腐葉土などを撒きます。するとこの有機物が草地を誘導して広げます。草地が広がれば草の根が水と空気を地下に運びます。こうしてこの園庭でも健康な表土が回復し始めていました。
D 木を元気にする
 直接木を元気にする方法も見せてもらいました。浸透した水がたっぷりすぎて食傷気味で元気をなくしている桜の木です。この木の枝先の下あたり周囲5箇所に50センチ〜70センチほどの穴を開け、その穴にその長さに切り割った竹を差込み、さらに炭と腐葉土と籾殻燻炭を合わせたものを入れました。こうすると、地下に溜まったガスが出て行き、上からは良い空気が入り、木が元気になるそうです。今度見に行くのが楽しみです。

 自然に手を入れる時に心がけとして、一度に望ましい姿にしてしまうことなく、7割程度でやめておくことが肝心だと教わりました。自然への関与は、様子を見ながら、弱い関与を回数多くしていると、自然に美しい姿に落ち着いてくるそうです。

地球の庭師

 私は彼に、特定外来生物といわれる今や日本中を席巻しそうな草は、どうしたら良いかと尋ねました。すると彼は、「その草にも働いてもらいましょう。他の草と同じ扱い方でいいです。そのうちに暴れなくなり落ち着いてくると思いますよ」と答えてくれました。

 私は「地球の庭師」という言葉が浮かんできました。人が入れない奥山は熊が庭師、下枝を折り、大きな身体で空間を作り、風を通し美しい庭園を造ります。そして山の渓流の両側は風が庭師。そして人が手を入れた農地や人工物が多い都市部には、彼のような感覚を持った庭師が必要だと思いました。私もこれから勉強したいと思います。皆さんもご一緒にどうぞ。
posted by medaka at 17:11| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

表示のマジックから目を覚まして

認証米表示が意味するもの

 以前、「減農薬に気をつけて」という記事を載せていただいたことがありますが、減農薬表示よりもっと厄介なものが、認証制度だということに最近気がつきました。この制度は、エコファーマーとか、特別栽培米とかの基準が各県にあり、その基準に当てはまるものが認定を受けることが出来ます。普通、その地域の慣行栽培で使う農薬や化学肥料を5割以上減らすことが認定基準です。減農薬同様、ここには生きものたちの意見は全く入っていません。人間が減らしたかどうかが問われるだけなのです。

 常識的に考えると、認証米というのは、環境を取り戻すことに貢献している農場で栽培されていると思う人がほとんどだと思います。ところが、その触れ幅は非常に大きく、生きものを愛する農家で除草剤1回の場合から、本当に慣行農法の5割減の農薬や化学肥料を使用した場合まであり、私たちには到底その実態を知ることは出来ません。
 私たちが無農薬・無化学肥料と信じている有機認証制度でさえも、使っていい農薬があるのをご存知ですか?認証制度というのは、いずれにしても、使った農薬を表示しなくていいという農薬の隠れ蓑であり、誰かにとって都合のいい制度なのです。

 これと同じことが生物ブランド米にもあります。昨年朝日新聞に特集された生物ブランド米を10件ほど調べてみたら、8件が農薬・化学肥料を使っていました。本当にこれで環境が取り戻せるのでしょうか?山の中の自然に囲まれているという好条件に支えられているおかげかもしれません。本当にネオニコチノイド系の農薬を使っていないのでしょうか?分からないことばかりです。

減農薬を可能にしたネオニコチノイドの話

 最近、ネオニコチノイドを発明した日本人がアメリカの化学賞を受賞しました。評価の理由のひとつに、この農薬が減農薬を可能にしたという表現を見つけました。使用する農薬を半分にしても、これで今までとほぼ同じ効果が得られることにこのネオニコチノイドが貢献しているのです。ということは、減農薬や特別栽培の農産物には、ネオニコチノイドは必ず使われているということではないでしょうか。

 ネオニコチノイドといえば、ミツバチを激減させた最重要容疑者です。社会性の生きものであるミツバチの脳を侵し免疫力を奪うものです。農薬が掛かったミツバチは通常の場合、巣に入いれませんが、ネオニコチノイドは無味無臭のため門番にも気づかれず巣に入ってしまい、巣ごと全滅してしまうのです。
減農薬の農産物を少しくらい高くても私たちが買うのは、身体に安全だというだけでなく、環境に良いと思っているからですよね。生きものたちに聴いてみると、ノーと言っていますよ。ここ数年、ミツバチとトンボが消えつつあります。人間の脳にだって悪い影響が無いと言い切れるでしょうか?

表示のマジックから目を覚ます

ではどうしたらいいでしょう。この問題には、とても簡単な解決策があります。それは使った人が使ったものを多く使った順に米袋に書けばいいのです。今まで気がつきませんでしたが、一般の食品と農産物は逆になっているのです。

 今、食品についてはとてもいい表示方法が義務付けられています。それは、その食品の原材料を重量の多い順に記載するというものです。この表示方法を、農産物にも適用するとすべてがクリアになります。現在は無農薬の農家がそれを証明するために有機認証を得ようとすると、検査員の交通費から宿泊費に至るまでの高額の検査費用と栽培記録を書く手間が必要です。無実を証明するために苦労しているのが現実です。これは本当におかしいことなのですが、ほとんどの人は認証制度のマジックに掛かっているため、気がつきません。

 逆表示のマジックから目を覚ましましょう。表示の基本は、使った人が使ったものを多く使った順に記載することです。これでいくと、普通に農薬・化学肥料を使っている人が、それを記載して出荷するだけですべてが解決します。そしてうそを書いたら罰せられるという法律を作っておけばいいのです。今まで有機認証を受けていた作物にも、使用した安全な?農薬を記載していただくことになります。特別栽培や減農薬栽培の触れ幅の広い使用実態もこれで明らかになります。そして、これで行くと認証制度は必要なくなります。また自然農法で何も使っていない人は、何も書く必要がないということです。この場合、使用した農薬を書く欄には、この農地に住んでいる生きものたちや生えている野草の名前を書いていただけると楽しいですね。メダカのがっこう田んぼの生きもの調査隊がお手伝いします。

 さて、この逆表示を正す運動は、国を動かすのは大変なので、田んぼでつながっている農家と、メダカのがっこう会員である都市部の消費者の間で、始めています。メダカのがっこうの会員農家は、既に認証を取るというコストと手間を省き、1年に数回私たちと田んぼの生きもの調査をしながら、生きものたちの生き易い環境づくりを心がけてくださっています。私たちは制度改革ではなく、成功事例をたくさんたくさん積み重ねることで、認証制度が必要なくなる世の中を作ろうとしています。どうぞ参加してください。
posted by medaka at 17:06| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。